土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第24巻
将来の気候変化が積雪の量的・質的変化に及ぼす影響に関する研究
谷口 陽子中津川 誠工藤 啓介
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 72 巻 5 号 p. I_205-I_211

詳細
抄録

 本研究は,積雪寒冷地の地域特性を踏まえた地球温暖化に対する適応策を考えていくための基礎研究として,北海道のダム流域を対象に,IPCC第5次評価報告書に対応した気候変動予測データを用いて地域レベルでの地球温暖化の影響を,水資源やウィンタースポーツに関連する積雪量・雪質の観点から定量的に評価したものである.
 積雪量に関してはLoHASにより年最大積雪包蔵水量が将来気候において現在気候の約8割まで減少することが明らかとなった.積雪寒冷地のダムでは雪水資源を利用した夏場の利水補給を行っており,融雪期のダム貯水池運用に大きな影響が及ぶものと考えられる.また,雪質に関してはSNOWPACKにより将来気候では,積雪全体がざらめ雪になるのが早期化することが分かり,豊富な積雪量と良好な雪質をもつスキー場の環境が劣化する場合があることが示唆された.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top