2016 年 72 巻 5 号 p. I_21-I_26
本研究では,都市構造を精度よく表現可能なポリゴン型不浸透域データであるUrban Atlasを活用し,広域水文・水質統合解析モデルであるHYPEモデルに都市部の不浸透域の流出特性を設定したU-HYPEモデルを提案するとともに,本モデルを流域面積と土地利用が異なる2つの流域に適用し,流出予測精度についての比較と検討を行った.その結果,U-HYPEモデルを活用することによって,従来の大陸スケールを対象とした流出解析モデルでは表現が困難であった降雨時のピーク流量について,対象流域の流域面積によらずに表現することが可能であることを示した.また,降水強度と流出予測精度の関係について検討した結果,U-HYPEにおいて降水強度の大きなイベントで洪水到達時間を過小評価する傾向が示唆され,HYPEモデル改善に関する複数の重要な知見が得られた.