土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第24巻
複数の将来気候シナリオと社会経済シナリオを入力した統合評価モデルFUNDの水分野影響関数による経済被害推計値の特性分析
井芹 慶彦宮崎 千尋Lu GAO吉川 沙耶花鼎 信次郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 72 巻 5 号 p. I_213-I_221

詳細
抄録

 本研究では,最新の気候シナリオと社会経済シナリオの組み合わせが統合評価モデル影響関数による推計に与える影響を定量的に分析するため,統合評価モデルFUNDに着目し,最新のシナリオフレームワークを用いてFUNDの水分野影響関数による経済影響推計を行った.その結果,本研究で着目した三分野のうちどれも,高排出シナリオ(RCP8.5)では21世紀末にかけて被害が増加し続けていた.21世紀末における三つの社会経済シナリオ(SSPs)間での被害の大きさを全球GDP比で比較すると,水資源及び熱帯低気圧影響は,適応への困難度が大きいSSP3で被害が最も大きく,SSP1とSSP2の被害は同程度であった.一方,海面上昇については,SSP3 > SSP1 > SSP2となっており,排出シナリオ・社会経済シナリオの違いが被害の大きさに与える影響を定量的に示す事ができた.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top