2016 年 72 巻 5 号 p. I_93-I_100
水力発電は他の再生可能エネルギーと比較しても安定した電力供給を見込むことができるが,観測流量の不備と事業採算性評価の困難さから,新規水力開発には未だに高いハードルがある.本研究では,流出解析モデルを用いて,小水力発電の事業採算性評価手法を構築した.事業採算性評価は,発電単価評価と採算性評価から構成される.発電単価評価では最安の発電単価となる水圧管路管径と設計取水量の関係を決定するために,単価最安計算が実施される.採算性評価では,固定価格買取制度を適用したときの売電収入と運用コストの収支から,建設工事費回収年が推定される.本研究では,ケーススタディー地点において事業採算性評価手法を適用し,FIT終了後の買取価格や金利などの影響について論じた.