2016 年 72 巻 6 号 p. II_241-II_247
近年,インドネシアでは深刻化する都市廃棄物の改善のために「ごみ銀行」と呼ばれるコミュニティベースのリサイクルシステムが注目されている.本研究ではこの「ごみ銀行」に着目し,地域住民がごみ銀行に参加する要因を明らかにするために,地域住民に対してごみ問題やごみ銀行に関する意識についてアンケート調査を行った.得られたデータを元に共分散構造分析を行った結果,住民がごみ銀行に参加する要因は,会員と非会員に違いがあることを明らかにした.会員はごみ銀行への「対処有効性認知」が「目標意図」へ影響を及ぼし,非会員は「社会規範評価」が「行動意図」へ影響を及ぼすことがわかった.また,「対処有効性認知」と「社会規範評価」の関連が強いことから,ごみ銀行の活動を経験することがごみ銀行の有効性認知につながると考えられる.