抄録
東京都は,日本の中心として,社会資本や建築物などの整備が進められ,蓄積されたストック量は膨大であり,かつ,現在においても大量の物質投入と排出を繰返している.本研究においては,木造建築物の時系列的なフロー・ストックモデルを構築し,東京都における1872年から2050年までの180年間に適用した.建築物の残存率は,各建築世代に依存する構造的な寿命などの要因と災害や経済変化等の排出時点における外圧の双方により決定されると仮定し,統計値と合致するようフィッティング計算を行った.この結果,木造建築物のストック量(床面積)は2033年頃,滅失は2047年頃にピークを迎えることを示した.また,戦災やバブル経済などは,排出ピークを10~12年程度シフトさせる影響力があったことが示唆された.