抄録
重金属等を吸収する植物(カヤツリグサ科マツバイ)を用いて,セレンを含むトンネル掘削ズリからの浸出水,ヒ素を含む河川水の浄化実験を行った.浸出水の実験では,現場の貯水槽へ植物を浮かべ,浸出水のセレン濃度と植物のセレン含有量の経時変化を測定した.河川水の実験では,植物を敷設した人工水路へ2日間で300 L流入させ,流出後のヒ素濃度,植物のヒ素含有量及び流出水量を測定した.実験の結果,貯水槽の浸出水のセレン濃度は0.039 mg/Lから90日で0.002 mg/Lに減少,植物のセレン含有量は7.2 mg/kgに増加した.河川水のヒ素濃度は200 L流下後に初期値の約60 %,ヒ素含有量は4.16 mg/kgに増加した.また,流出量は,平均気温に応じて流入量の41~64 %に低減し,人工水路で蒸発散させる効果を確認した.