2016 年 72 巻 7 号 p. III_255-III_265
人員比(実使用人数/設計処理対象人数)が0.8,0.14,0.29と異なる3基の浄化槽に対して処理水の循環運転を行い,処理水循環が処理水質へ与える影響をクラスター分析と主成分分析を用いて解析した.浄化槽の処理水循環を行うことより,脱窒が促進され,全窒素の減少がみられた.いっぽうで,処理水循環によるBODの変化はみられなかった.クラスター分析と主成分分析による解析により,有機性の負荷に関連する測定項目と硝化・脱窒に関連する測定項目をグループ化することができた.それらのグループは関連性が低く,処理水質の向上を目指す場合,窒素負荷には処理水循環が有効であるが,有機性の負荷には他の対策が必要であることが示唆された.