2016 年 72 巻 7 号 p. III_29-III_36
河川や水路での自浄作用促進のために,ポーラスコンクリートの活用がなされてきている.さらに,水質改善能力を増加させるため,陽イオン交換・吸着機能を持つゼオライトなどの物質をポーラスコンクリートに含有させる方法が開発されている.しかし,含有したゼオライトによる効果のメカニズムについて,詳細には分かっていない.本研究では,硝化反応に着目し,微生物付着量や反応速度について,ポーラスコンクリートの空隙およびゼオライトの含有率やゼオライト種(担持陽イオン種)による影響を明らかにすることを目的とした.コンクリートをポーラス状にすることで,比表面積が増大し生物付着量が増加し,結果としてアンモニア除去速度を2倍近く上げうることが示された.またゼオライトによるアンモニア吸着効果も生物処理効果と同程度に有効となることもわかった.ゼオライト種(担持陽イオン種)により硝化促進効果も変化するものの,硝化細菌群数からその現象を説明をすることは出来なかった.