抄録
完全混合反応槽に担体を添加して一槽式Anammoxの連続実験を行い,装置の立ち上がり状況や脱窒特性,担体に付着した微生物の状況などについて検討を行った.曝気量を適切に制御しアンモニア酸化細菌(AOB)とAnammox細菌を共存させることで80日程度で装置のスタートアップができることが示唆された.25℃,容積負荷0.5kg-N/m3/dの条件下において平均69.6%,最大81.1%の窒素除去率が得られた.活性実験の結果,リアクター内におけるAOBとAnammox細菌の棲み分け状況を確認でき,亜硝酸化反応は浮遊汚泥と担体汚泥の両方により,Anammox反応は主に担体に付着した微生物により行われていることが示された.また担体にはAnammox細菌の増殖空間を提供する役割があり,AOBとAnammox細菌が共存していることとが明らかとなった.回分実験による解析結果から本研究の担体添加型一槽式Anammoxプロセスの脱窒ポテンシャルは2.56kg-NH4+-N/m3/dであることが推定された.