土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
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環境工学研究論文集 第53巻
表流水中バイオポリマー成分のサイズとMF/UF膜細孔径の関係が膜ファウリングの発生に及ぼす影響
木村 克輝大木 康充
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2016 年 72 巻 7 号 p. III_535-III_541

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抄録

 浄水処理への膜処理適用が進んでいるが、自然水中の有機物(Natural Organic Matter, NOM)が引き起こす膜ファウリングが広範な普及の障害となっている。本研究では、NOMの中でも近年膜ファウリングへの関与が重要視されているバイオポリマー(親水性高分子量成分)に着目し、バイオポリマーのサイズとMF/UF膜細孔径の関係が膜ファウリング発生に及ぼす影響について考察した。ポリ塩化アルミニウムによる凝集処理と、帯磁性陰イオン交換樹脂処理を用いた前処理について検討し、これらの処理では除去されるバイオポリマーの画分が異なっていることを明らかにした。凝集処理では分子量100万以上の超高分子量バイオポリマーの除去が行われる一方でイオン交換樹脂処理では分子量数万付近の低分子量バイオポリマーの除去が行われた。MF膜ファウリングの抑制効果は凝集処理を用いた場合に高まることから、超高分子量バイオポリマーのMF膜ファウリングへの重大な関与が示された。前処理におけるバイオポリマーの除去率はイオン交換樹脂処理と凝集処理を組み合わせた場合に著しく高まり、連動して膜ファウリングの抑制効果も高くなった。これは、イオン交換樹脂処理によりフミン質が極めて良好に除去され、バイオポリマーと反応しうる凝集剤量が相対的に大きくなったことによるものと考えられた。バイオポリマーが細孔内に侵入できないUF膜を用いた場合には、不可逆的ファウリングの発生が著しく抑制されたが、UF膜により抑止された微細粒子が可逆的ファウリングの発生を促進させるようになった。

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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