抄録
本報では,シロアリ防除剤としてのクロチアニジンの土壌処理における健康リスク評価に先立ち,土壌・地下水環境中での移動現象を考慮した数値解析モデルを構築した.また,クロチアニジンおよび防腐剤・防カビ剤のモデル物質としてのIPBC,IAA,CIAAの4種類の薬剤から構成される多成分系を対象とし,実際の施工で想定される濃度条件を模擬したバッチ系吸着試験ならびに土壌カラム通水試験を実施した.その結果,間隙内のミクロスケールでの溶解成分と土粒子との接触面積の違い等に起因して,バッチ試験の結果に対して,カラム試験における各薬剤成分の土壌への吸着性は0.1~1倍となることがわかった.さらに,構築された数値解析モデルを用いたカラム試験のヒストリーマッチングにより,各薬剤の土壌吸着モデルの最適化を図った.