抄録
本論文は,道路交通振動対策に道路直下の地盤改良によるWIB工法で実施した事例報告である.当該道路の官民境界での振動レベル(最大値評価のLmax)の時系列変化は,対策前で最大値が70dB,平均値が64dBであり,1/3オクターブバンド周波数分析では12Hz~16Hzに卓越周波数を呈し,振動加速度レベルは建築学会基準の居住性能評価のV-90を超え耐え難いものであった.そこで目標減振量を10dBと設定し,Lmaxの平均値が55dB以下となるWIB工の標準設計をした.WIB工は,高剛性セル構造体を地中に構築するので,今回の施工はスラリー撹拌の柱状改良工法で行い,ハニカムセル壁面を構築した.地中埋設管の回避のため,部分的に現場合わせをとった.対策後の性能確認計測からは,Lmaxに対し約10dBの減振効果が実証された.