合成開口レーダを用いた日本の中規模河川における植生モニタリング技術の開発

抄録

　本研究は，合成開口レーダ(SAR)衛星を用いた国内河川の植生モニタリングを目指し，ケーススタディとして佐波川河道内のSARによる植生観測を試みた．XバンドおよびLバンドのSAR画像を用い，ドローンによる空中写真測量結果と比較を行った．Xバンドでは河道内の竹林の衛星視線方向背後側に陰影部が確認された一方，Lバンドでは竹林部に特徴的な陰影部は見られなかった．LバンドとXバンドの差分からXバンドのみの陰影部を抽出したところ，Xバンドのみの陰影部は竹林部の後方と対応することが明らかになった．さらに，SAR観測の原理に基づき，竹林の群落高さと抽出された陰影部の長さの関係式を提案した．実測値と提案式による推定値を比較したところ，相対誤差の平均は-15.6%，標準偏差は17.0%であった．