土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境システム研究論文集 第45巻
大気汚染物質と短寿命気候汚染物質に及ぼす気候変動緩和策による副次効果の分析‐インドを例にして‐
平山 智樹藤原 和也日比野 剛花岡 達也増井 利彦
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 73 巻 6 号 p. II_301-II_308

詳細
抄録

 本研究では,積み上げ型技術選択モデルを用いて,インドの将来の温室効果ガスと一次生成の大気汚染物質,短寿命気候汚染物質(SLCP)の排出量と,対策導入コストを推計し,気候変動緩和策が大気汚染物質とSLCPの排出に及ぼす影響を評価した.その結果,125ドル/トンCO2の炭素価格で導入可能な気候変動緩和策による副次効果として,SO2,PM2.5,BCの排出を基準年比横ばい以下まで抑制できること,2050年までの累積GDPの0.12%に相当する大気汚染対策コストを削減できること等が示された.一方で,気候変動緩和策の推進がもたらすバイオマス利用の拡大が,大気汚染物質やSLCPの排出増をもたらす可能性があることも示された.温室効果ガスだけでなく,大気汚染物質やSLCPも含めた最適な排出パスを検討するためには,低炭素化のみならず,健康被害や気候変動の要素にも留意して検討を進める必要がある.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top