抄録
現在の地球温暖化問題では,温室効果ガスを削減するという緩和策とともに,地球温暖化の影響を軽減するための適応策の検討も重要とされている.適応策では,地球温暖化被害の軽減額の減少分が便益となるが,例えば地球温暖化に伴う洪水被害の評価においては,現状の推計に問題があった.そこで,簡便なラムゼイモデルを用いて洪水被害が経済成長の水準にまで影響することをまず明らかにした.さらに,ラムゼイモデルを動学CGEモデルに拡張し,山梨県を対象に地球温暖化による洪水被害額の推計を行った.その結果,地球温暖化による洪水の深刻化により直接被害が740(億円/年)増加した場合,経済成長への影響まで含む家計の経済損失は1,210(億円/年)となり,その比率である乗数は1.692との結果となった.