抄録
河川における魚類の生息特性を把握する上で,単一の魚種だけでなく,複数の魚種が周囲に存在する場合も対象としなければならない.既往の研究より,異魚種の個体群が遭遇した際の魚群の挙動は若干解明されているものの,魚の体長を系統的に変化させてその挙動を解明した研究は少ない.本研究は,静止流体中においてアユの体長を固定した状態でオイカワの体長を系統的に変化させ,両者の行動特性の変化を解明したものである.その結果,オイカワの体長の増加に伴い,オイカワは遊泳距離,遊泳速度および屈折角度を減少させ,アユがオイカワに対して威嚇する傾向は徐々に弱まることが明らかになった.