抄録
視覚情報は魚の行動特性に影響を及ぼす一因であるため,光を用いた魚の行動制御が試みられてきた.光に対する反応は魚種によって異なると推定されている.井上らは海洋魚より河川魚の方が視覚を利用して定位する傾向が強いことを指摘した.しかし,光と各魚種の行動特性との関係は十分には解明されていない.本研究では矩形プール内外において白色光の配置を変化させ,静水中を遊泳するアユの遊泳挙動に及ぼす影響の解明を試みた.その結果,白色光の配置を変化させてもアユの魚群半径にほとんど影響を与えないが,プール内で白色光が底面に接近するとアユの遊泳速度が増加することやアユが白色光から遠ざかることが判明した.