抄録
岩国市地先において天然藻場(アマモ場)と同様な藻場を再生させるため,順応的管理の考え方に基づき,移植や播種を行なわず,旧航路を埋め戻すことで,自立的に回復する藻場の再生に取り組んだ.本研究では,藻場再生の一連の手法の提案とこれの妥当性を検証した.本事業では,再生方針から目標設定,工事計画の立案,モニタリングを行い,3年目の中間評価で再生の可能性を判断し,5年目の最終評価では天然藻場との比較で目標の達成度を判断した.その結果,埋戻区ではアマモの生育可能な環境にあっただけでなく,花枝の出現やアマモの群生が確認された.アマモとコアマモの生育状況は,概ね天然藻場の範囲内で同様な変動を示し,天然藻場と同様な自立的に回復する藻場が形成され,手法の妥当性が示された.