抄録
本研究では,都市ごみとし尿汚泥の混焼を想定し,都市ごみ焼却施設とし尿処理施設との施設間連携の現状を明らかにするとともに,更なる連携の可能性を明らかにすることを目的とした.まず,既に混焼を実施している都市ごみ焼却施設へのアンケート調査を行い,連携のためには,(1)施設間距離は20km以内,(2)混焼率は14%以下,(3)稼働率は86%以下が望ましいと考えられた.また混焼による都市ごみ焼却炉への影響は専用設備の導入や排ガス組成、焼却灰量などの観点から小さいと考えられた.次に,この結果を用い,連携により混焼処理可能なし尿汚泥量を計算したところ,全発生量109.8万t/年のうち39.3%に相当する43.1万t/年が,新たな連携により都市ごみと混焼処理可能であり,15.8%に相当する17.4万t/年は高い実現性で混焼処理可能であると算出できた.また,混焼導入には中規模なごみ焼却施設(日処理量100t以上300t未満)が比較的に多い地域が有利であることが分かった.