2017 年 73 巻 7 号 p. III_287-III_295
SEM-EDXによる元素分布の相関分析により、キレート処理済みの一般廃棄物焼却飛灰に含有する重金属の化学形態を推定する手法を開発することを目的とし、キレート処理飛灰に含有するTiの化学形態分析も併せて試みた。焼却飛灰を抽出能力の異なる溶出試験へ供することで、難溶性あるいは不溶性内部マトリクス上に存在する重金属の観察が可能となった。相関分析によるTi化学形態分析の結果、焼却飛灰中の結晶性Tiはrutile (TiO2)あるいはperovskite (CaTiO3)であり、アルミノケイ酸マトリクス中に混在していると推察された。一方で非晶性のTiとして、アルミノケイ酸と結合している形態も併せて推察された。本研究の手法は、XRD分析では同定が困難な重金属化学形態を粒子レベルで推定できる利点を持つ。