2017 年 73 巻 7 号 p. III_315-III_322
浄水処理のろ過工程におけるハロ酢酸(HAA)前駆物質の除去率を高めるため,酸化鉄または酸化マンガンを添着した石英砂とアンスラサイトを調製し,カラム通水実験を行った.酸化鉄は酸化マンガンよりもろ材に多く添着し,添着後は細孔径が縮小し,比表面積は増大した.アンスラサイトは石英砂よりも多くの酸化鉄やマンガンを添着した.カラム通水実験では,酸化鉄添着ろ材は高い有機物除去率(DOC:50~70%)とHAA生成能(HAAFP)除去率(63~70%)を示したが,酸化マンガン添着ろ材は共に低かった.さらに酸化鉄添着アンスラサイトは幅広い種類の有機物を吸着することから,4種のろ材のうち,HAAFP除去に最も適したろ材であると判定した.カラム内の酸化金属量とHAAFPの除去量には相関があり,より多くの酸化金属を添着することでHAAFPの除去率が高まることが示された.