2018 年 74 巻 1 号 p. 1-7
建設発生土処理において,ヒ素を含む浸出水が排出され環境問題を引き起こす事例が見られる.本研究では,建設発生土盛土処理地の浸出水から,ヒ素高蓄積植物として知られているモエジマシダを用いた水耕栽培処理によるヒ素除去の検討を行った.仙台市の地下鉄東西線建設発生土処理地にモエジマシダの水耕栽培処理のパイロットプラントを設置し,水質環境基準値を超えるヒ素を含みかつpH 9前後のアルカリ性の浸出水からヒ素を除去する現地実験を行い,処理水のヒ素濃度を水質環境基準値である10 μg/L以下に浄化でき,またpHも水質環境基準値範囲である8.3程度まで低下させることを確認した.モエジマシダによるヒ素の蓄積は主に羽片で生じ,1株あたりのヒ素吸収量は2.4 mgとなった.以上からモエジマシダを用いた水質浄化法の有効性を明らかにした.