2018 年 74 巻 4 号 p. 165-175
一連の研究は,除去土壌の分級・分別処理における新たな土質改良材として速効型中性系土質改良材の開発を目的としている.本研究では,速効型中性系土質改良材による土質改良機構を種々の物理分析を通じて検証している.その結果として,(1) 速効型中性系土質改良材による改良効果は砂質土ならびに粘性土のいずれの対象土質に対しても顕著であり,特に砂質土の場合は高含水条件において改良効果をより期待することができる,(2) 速効型中性系土質改良材は,土中間隙水の水分吸収のみに基づく改良である,(3) 砂質土と粘性土に対して速効型中性系土質改良材による改良効果が異なる原因の一つは,粘性土中において速効型中性系土質改良材では吸水できない高い保持力を持つ水分が残っており,団粒構造を完全に分散するまでに至らないことを考察している.