2018 年 74 巻 5 号 p. I_103-I_108
メコン河氾濫原において衛星画像を用いた全リン濃度分布の推定を行った.雨季と乾季それぞれの衛星画像により偏最小二乗回帰分析を行い,クロロフィルa濃度を求めた.既往の式を複数検討し,そのうちの一式によってクロロフィルa濃度から全リン濃度を求めた.雨季の回帰式から雨季と乾季の濃度分布図を,乾季の回帰式からも雨季と乾季の濃度分布図を推定した.雨季の回帰式による雨季の推定値と観測値の相関係数が0.97であり乾季における同相関係数は0.070であった.また乾季の回帰式による乾季における相関係数が0.66,雨季における相関係数は-0.49であった.異なる季節に対して回帰式を適用できないことが理解され,より精度の高い推定のためには季節毎の回帰式を求める必要があることが分かった.