2018 年 74 巻 5 号 p. I_11-I_18
本研究では,地域レベルの環境負荷を示す指標の一つとして消費ベースCO2排出量を導入する.2040年の滋賀県(8地域分類)を対象に,1) 生産ベースCO2排出量および消費ベースCO2排出量を推計し,2) CO2排出量削減における炭素リーケージの分析を行うとともに,3)自立度(=生産ベースCO2排出量/消費ベースCO2排出量)の指標により地域のCO2排出量の構造を分析する.
その結果,2040年の滋賀県では,県平均では自立度は1.20であったが,地域別に見ると,自立度が1以上であるのは8つの地域中4つであった.また,生産ベースと消費ベースCO2排出量の削減率の比較により,生産ベースCO2排出量の削減が炭素リーケージを誘発していないことを確認した.地域の自立度への寄与は,窯業・土石製品業が著しく大きく,この業種が衰退すると,自立度が大きく減少する可能性があることが分かった.