抄録
本研究では,将来の気候変動や環境負荷問題に向けて,短時間スケールで出現する降雪イベントと化学的組成から得られる特徴の関係を地域スケールで明らかにする取り組みを進めた.福島県を中心とする温帯多雪地帯で進められた調査,分析より得られた結果を以下に①~③に列挙する.①初雪時期は盆地や市街地域に近接するほど非海塩性のイオン,元素が高濃度で含有する.②総イオン濃度が低値の場合,地域固有の条件に依存した非海塩起源の総イオン濃度の含有割合が多くなる.③地形,水域等の周辺環境や海洋との位置関係より,降雪の起源に対する影響度が変化し,特に盆地,山地に囲まれて閉塞された高地の地形条件を呈する領域,湖沼付近で明瞭になる.