抄録
廃棄物最終処分場における高濃度硫化水素発生防止のための有機炭素に関連する指標について,易および難分解性有機物を区別しない全有機炭素(TOC)より,有機炭素の利用速度をもとにした指標の有効性を評価する必要がある。本研究では,セルロース系有機物である木質を使用した時の硫化水素発生ポテンシャルを測定した。既往研究結果である易分解性有機物(微生物培養用溶液)によるポテンシャルと比較した。同じTOCにおいて,木質抽出液は,微生物培養用溶液より硫化水素発生ポテンシャルが小さかった。高濃度硫化水素発生防止のためにTOCで基準を設定すると,木質を過剰に排除しなければならなくなる。木質抽出液および微生物培養用溶液ともに,酸素消費速度0.3 mmol-O2 / (L·h)以下で高濃度硫化水素が発生しなかった。