抄録
本研究では日本の2050年温室効果ガス排出80%削減における電力構成および電力量の変化,必要な削減費用を推計し議論する.経済モデルを用いてその推計を行うが,その際エネルギー技術モデルの結果を用いて経済モデルに取り込むことで,エネルギー関連出力に現実性を持たせた.その結果,GDP損失は2050年において,エネルギー技術モデルの情報を用いた場合は0.4%となり,従来の経済モデル単独の結果よりも約2%小さくなることが分かった.エネルギー技術モデルは従来の経済モデルとは異なる削減技術に関する情報を持つことにより,部門間の生産活動,家計行動や炭素税収が変わることがその主たる要因と考えられた.