2018 年 74 巻 6 号 p. II_141-II_150
浄化槽分野の低炭素化推進に際し,1990年からの20年余の技術開発による温室効果ガス排出量の推移を明らかにし,この結果を基にさらなる削減施策のあり方について考察した.5から10人槽の浄化槽を対象に1990年から2013年を調査期間として,浄化槽のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を分析した.その結果,2013年度生産品の排出量は1990年度に対し,一基当たり35%削減され,ブロワの省エネ化と浄化槽のコンパクト化は効果的な低炭素化手法であったことがわかった.また,我が国の排出量削減目標である2030年度マイナス26%(2013年度比)の本分野での達成は,現時点で最高性能を有する浄化槽の普及にて可能となるものの,長期目標(2050年までに8割削減)達成にはさらなる削減施策が必要と示唆された.