抄録
サステナビリティ・トランジションを促すためには集団での環境行動が重要であると指摘されている.本研究では再生可能エネルギーシステムの導入活動を対象として,身近な人が若者の集団での環境行動意図に及ぼす影響を多母集団同時分析によって定量的に把握した.その結果,地域活動に参加する身近な人がいる集団の行動意図はいない集団と比べて有意に高く,他者と協働するコンピテンスへの有能感が実行可能性評価を高め,行動意図に影響していることが分かった.また,いずれの集団においても集団環境行動に対する実行可能性評価と責任帰属認知及び環境問題への積極的興味・関心が行動意図に有意な正の影響を及ぼしていた一方で,個人での環境行動で環境問題の危機を回避できるという認知は集団での環境行動意図を引き下げることが明らかとなった.