抄録
インフラを対象とした物質フロー・ストック分析(MFSA)の既往研究を踏まえると,鉄道の構成体全てを網羅したMFSAは十分に行われていなかった.本研究では,鉄道の中でも東海道新幹線に着目して時系列的MFSAを車両編・構造物編・電車線編・軌道編に分けて行い,東海道新幹線の開業時から現在に至るまでの,物質フロー量・総蓄積量・累積投入量を部材別に明らかにした.その結果,2017年までに約413万tの累積投入量があり,内訳はコンクリート:約329万t, 鉄:約76万t, アルミ:約5万t, 銅:約3万t, ステンレス:約1万tと推計された.2011年における東海道新幹線のストック使用効率は11,319人キロ/tであり,既往研究から求めた日本全国の鉄道平均の値1,059人キロ/tと比較すると,ストック使用効率は約10倍高いことが判明した.