抄録
水道管路資産の急速な老朽化と更新財源の逼迫を受け,長期に渡り発生するライフサイクルコスト(LCC)の最小化を目指すアセットマネジメントが多くの水道事業体で広まりつつある.これまで,水道管路システムを対象にLCCを最小化する管路更新計画モデルを用いた研究が数多く行われてきたが,人口減少下におけるポンプ圧送系に対する更新の考え方(ダウンサイジング等)は十分に確立されていない.そこで本研究では,更新時期と口径を整数で表現する遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた管路更新計画モデルを提案し,人口減少下におけるポンプ圧送系の樹枝状送水システムにモデルを適用した.この結果,ポンプ運転費用を考慮した合理的な口径決定と同時に末端圧力の余裕を活用した積極的なダウンサイジングの立案が提案モデルによって可能となった.また,計画期間中における水需要のピーク(計画水量)から口径を決定することが設計規範として合理的であることが示され,人口減少下では更新時の水量から口径を決定することが有効であるということも明らかとなった.