土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境システム研究論文集 第46巻
河川純一次生産力に基づく全球月別環境流量必要量の推定
篠崎 由依藤原 誠士白川 直樹
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2018 年 74 巻 6 号 p. II_85-II_92

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抄録
 流量変動に支えられた河川生態系の保全のためには一定の環境流量必要量(EFR)では不十分であり,一年の内に最大でどの程度のEFRがどの季節に必要かを知ることが重要である.本研究では,河川植物の純一次生産力から河川生態系の質と脆弱性を指標化するモデルを用いて,月別に全球環境流量必要量を計算した.その結果,全球年平均のEFRの45%に対し,最大月のEFRは149%と3倍にもなった.特に雨季乾季が明瞭なサバナなど一次生産力や流量の季節変動が大きい場所では最大月を加味したEFRを設定する必要がある.検証の結果,本モデルは個別設定されたEFRと最も一致率が高く,既往の全球モデルで評価の難しかった低緯度地域や流況変動の大きな地域でも精度よく評価できることを確認した.
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© 2018 公益社団法人 土木学会
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