土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第55巻
硫黄脱窒法による浄化槽処理水への適用検討
堀尾 明宏後藤 淳李 富生青井 透宮里 直樹
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2018 年 74 巻 7 号 p. III_1-III_7

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抄録

 現状,浄化槽(合併処理浄化槽)の8割近い施設は,窒素除去能力を有していない.そこで,本研究では浄化槽への窒素除去法の代替法の一方策として硫黄脱窒法を試みた.実験は,浄化槽やその排水路に適用しやすい開放水路型の形状として,横流れ式モデルを作成し,実試料を用いて硫黄脱窒性能と適用に向けての諸条件について検討した.その結果,浄化槽処理水でも効果的に脱窒効果が得られ,窒素除去型浄化槽と同様な処理性能が得られた.また,事前に硫黄カルシウム基材を処理水に浸漬させておくことで早期の立ち上げが可能となった.除去率は夏季の高温期に高く,8割を超えることもあったが,冬季の低温期では低下した.その対策として,接触量の増加や通水速度の減少によって基材との接触時間を増すことで,窒素除去率の向上を図ることができた.また,基材上の細菌の遺伝子検査では,硫黄酸化脱窒細菌であるSulfurimonas属細菌が確認できた.実験期間中,SSが基材に多く付着し性能低下が見られたため,定期的なメンテナンスが必要であると示された.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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