2018 年 74 巻 7 号 p. III_19-III_26
長らく下水道が整備されない可能性が高いフィリピンの小規模自治体において,浄化槽の共同利用による分散型生活排水処理システムの構築を検討するため,建設コストの観点から最適なコミュニティ規模の検討を行った.可住地面積を0.25~1ha,住宅密度を5~20ha,また可住地の形状を変化させた11ケースを設定し,各50個,合計550個の住宅分布を乱数を発生させて作成し,下水管網の試設計を行った.配管延長は,住宅密度のみならず,可住地面積及び可住地のアスペクト比によって決定されることが示された.コミュニティを形成し浄化槽を用いて小規模な集合処理を行う場合,対象とする可住地面積が0.25haでは住宅密度18戸/ha以上,0.5haでは15戸以上,1haでは 11戸/ha以上において,個別に浄化槽を設置するよりも建設費を抑えることができることが感度分析によって示された.