土木学会論文集G(環境)
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和文論文
既設落差工に設置するヤマメが遡上可能な小規模魚道の提案
多胡 治小林 大樹今井 稜人林 不二雄
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2019 年 75 巻 4 号 p. 94-107

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抄録

 河川において水位差が大きい落差工は,魚類の生息環境を縦断的に分断すると共に,遡上・降下する際の深刻な障害になる.これらの問題を解消する対策として,魚道を設置するなどの方法がある.しかし,魚道において縦断勾配を緩やかにした場合,魚類の遡上・降下は容易になる反面,構造延長の増加は避けがたい.縦断勾配が急な小規模魚道であれば,構造延長の増加に伴う設置費用の抑制が期待できる.本研究では小河川における既設落差工に,越流部の下端へ切欠きを設けるなど工夫した急勾配の小規模魚道を設置し,機能検証のためヤマメによる放流実験を行い得られた結果について検討した.その結果から,設置した魚道がヤマメにとって遡上可能であることが証明され,小河川におけるヤマメの生息環境の改善に有効であることが明らかになった.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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