2019 年 75 巻 5 号 p. I_223-I_232
早崎内湖の価値(自然環境の価値,他者との交流の場としての価値)と,それらを維持するために望まれる保全活動主体の関係を,内湖周辺住民への質問紙調査のデータを用いた共分散構造分析および多母集団同時分析により明らかにした.結果,自然環境の価値の維持には住民,NPO・ボランティア団体,滋賀県(行政)それぞれが保全活動に取組んでいく必要がある,他者との交流の場としての価値の維持には住民自身が保全活動を担う必要があると,住民は判断していることが明らかになった.加えて,早崎内湖の現状や自然再生事業の状況の認知水準の低い住民は,自然環境価値の維持には滋賀県(行政)が保全活動を担い,他者との交流の場価値維持のための保全活動に住民は注力することが望ましいと判断していることなどが明らかになった