2019 年 75 巻 6 号 p. II_135-II_141
小水力発電は有望な分散型の再生可能エネルギーであり,日本各地への導入が期待されている。小水力発電は環境負荷が小さいと考えられているが,減水区間が生じるため,河川生態系の影響を正しく評価しておく必要がある.本研究では,小水力発電による減水が渓流生態系にどのような影響を与えるのかを定量的に明らかにするため,底生動物を指標として渓流のハビタット類型ごとに減水の影響度合いを評価した.研究の結果,加地川では,全ての渓流ハビタットにおいて減水による底生動物個体数,分類群数,及び生物の群集構造への影響は認められなかった.加茂川では,一部ハビタットにおいて減水区間の底生動物個体数及び分類群数が減少しており,生態系の変質が示唆された.原因として,砂防堰堤から取水されるため,土砂供給量減少が考えられた.