土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
75 巻, 6 号
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環境システム研究論文集 第47巻
  • 中谷 祐介, 宮西 杏奈, 西田 修三
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_1-II_6
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
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     沿岸海域の健全な物質循環系を構築するためには,窒素,リンだけでなくケイ素も含めた栄養塩負荷の適正なバランスを管理することが重要である.本研究では,淀川流域における栄養塩動態の定量的解明に向けて,地下水を取水している浄水場を対象に取水量および水質データの収集・分析を行い,地下水取水による窒素・リン・ケイ素の輸送量を算定するとともに,流域の物質輸送に及ぼす影響について解析した.

     水源として取水されている地下水の水質分布特性は水質項目によって異なり,ケイ素は淀川下流域の深井戸で高い濃度を示した.また,平水時におけるケイ素の河道断面輸送量の10~15%が浄水場での地下水取水に由来しており,流域スケールの物質輸送に大きな影響を及ぼしていた.

  • 三俣 陽太郎, 橋本 征二
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_7-II_15
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     ポリ塩化ビニル(PVC)製品は使用年数が長いため,経済社会において多くのストックが存在すると指摘されているが,それらのストックは潜在的な二次資源であると考えられる.本研究では,日本の経済社会に存在するPVCのうち二次資源として経済的に利用できる量である二次埋蔵量を推計した.その結果,(1)2016年における製品としてのPVCのストック量は約24百万tであり,出荷量の減少と廃棄量の増加により,近年横ばいであること,(2)2016年におけるPVCの二次埋蔵量は約8,737千tと推計され,これは同年の需要量の約9年分に相当すること,(3)二次資源の類型によると,二次埋蔵量のうち1年以内に発生するものは約207千tで,同年の需要量の約0.2倍に相当すること,また,管理された埋立地のPVC廃棄物量が,経済社会における製品のストック量と同程度あること,等を示した.

  • 蛭田 有希, GAO Lu , 芦名 秀一
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_17-II_27
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     電力需要の変動幅の拡大は,負荷率の低下による電力供給コストの増加だけでなく,化石燃料の消費の増大も招く.気候条件と時間単位の電力需要との関係を明らかにすることは,効率的な電力供給と地球温暖化問題への対応,市街地高温化への適応策等を検討するうえで重要である.本研究では,気温と湿度の違いが毎時電力消費量の多寡に及ぼす影響を把握することを目的として,人々の活動や様々な気候条件に基づいて消費電力を推定する回帰モデルを構築し,多様な影響要因をコントロールしたうえで,湿度の異なる環境下における気温感応度の違いを示した.結果,夏季日中において湿度の影響は大きく,湿度が高い場合には,1)より低い気温でも消費電力は上昇に転ずること,2)気温1℃あたりの消費電力増加率が高くなることが明らかとなった.

  • 尾﨑 平, 安部 寛喜
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_29-II_37
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     社会的変化としての高齢化による健康に配慮すべき人の増加や,地球的変化としての気候変動による暑熱環境の悪化する中で,健康維持,増進のために成人,高齢者が,安全にかつ,より積極的に都市空間に外出するための機会や場所の提供が求められる.本研究では,吹田市内に新設された健康増進を目的とした公園と摂津市内に新設された子どもの遊び場としての公園の利用実態を調査し,利用者属性や利用方法を比較し,健康増進型公園の特徴について考察した.また,健康増進型公園での実態調査に基づき,暑熱環境と運動行動の関係性を分析した.その結果,健康増進公園の主な利用者は,成人と高齢者であり,多くの利用者が健康遊具を用いた運動を行っていることを確認し,さらに,4割程度の利用者が熱中症リスクの高い状況で運動をしていることを確認した.

  • 松井 孝典, 川分 絢子, 岩見 麻子, 増原 直樹, 町村 尚
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_39-II_47
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の達成を支援するべく,SDGs間の連環関係を意味するネクサス(nexus)を明らかにすることを目的として,日本の都道府県スケールの各種の統計データから得られるSDGs指標のネットワーク解析やネクサス構造の類似性でクラスタリングを行うと共に,SDGs未来都市計画に記載された実践的取り組みを精査し,日本社会の持つSDGsのネクサス構造の特定や可視化を行った事例を示した.この経験から,今後SDGsネクサス研究を展開する際に重要な研究課題として,(1) SDGsアクションプランが定める取り組み群のネクサス構造の可視化と利害関係者への科学的情報の提供,(2) SDGs指標モニタリング対象の空間高解像度化と類型化による知識基盤の形成,(3) 大規模データとデータサイエンス技術による時空間シームレスなSDGs指標トラッキングシステムの開発,(4) 既存の計画・戦略をSDGs対応型の計画・戦略にアップグレードするためのルックアップロジックの設計,(5) G_17: Partnership for the Goalsの実践によるSDGsネクサスのオープンサイエンス化を提案した.

  • 村上 一真
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_49-II_57
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     緑のカーテン実施の意思決定プロセスにおける近隣住民との関わりの影響を,質問紙調査データを用いた共分散構造分析により明らかにするとともに,緑のカーテンの実施経験が意思決定に与える影響の異同を,多母集団同時分析により検証した.結果,育成の楽しさ,遮光・冷房効果が来夏の緑のカーテンの実施意欲を高め,コスト意識が実施意欲を抑制すること,近隣住民への感情や意識,会話などの近隣住民との関わりが,育成の楽しさ,遮光・冷房効果への評価を高めるがコスト意識には影響を与えないこと,今夏の緑のカーテン未実施群では育成の楽しさが来夏の実施意欲を高めること,実施群では遮光・冷房効果が実施意欲を高め,コスト意識が実施意欲を抑制すること,遮光・冷房効果の正の影響がコスト意識の負の影響よりも大きいことが明らかになった.

  • 近藤 紀章, 中野 桂, 田中 勝也
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_59-II_67
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究は,ペットの養育の有無に着目し,地域の生活環境に対する評価と地域活動への参加意識に対して与える影響について考察をおこなった.生活環境に対する評価は,「にぎわい・活気」,「環境管理意識」,「災害リスク認識」の3つの因子から構成されており,地域活動への参加意識は,「ボンディング型SC」と「ブリッジング型SC」の2つの因子から構成されていることが明らかとなった.共分散構造分析によるモデル化から,ペットの存在と15歳以下の子どもの同居のそれぞれによって,健康状態が高まるとともに,地域活動への参加が進む結果,ブリッジング型SCを形成する効果が明らかとなった.

  • 林 直樹, 藤山 淳史, 松本 亨
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_69-II_76
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     分散型エネルギーで,かつ安定供給源である廃棄物発電の普及・拡大が期待されている.廃棄物発電をネットワーク化することにより,旧一般電気事業者からの買電量減少,それによるCO2削減効果,さらにエネルギーの地産地消の効果として地域経済の好循環への寄与が期待される.本研究では,北九州市内に立地する3つの清掃工場を対象として,ネットワーク化及び小売事業化の経済面・環境面の評価を行い,それらの有効性を確認した.さらに,廃棄物発電の法定点検期間について,売電量が最大となるようなスケジューリングの最適化計算を行い,その有効性を検証した.

  • Dedi Abdul HADI, Toru MATSUMOTO
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_77-II_85
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     Trade has been agreed as one of the economic growth factors because of its impact to several economic sectors, such as investment and information technology development; however, it also has an effect on the environment. The more goods traded the more economic activity and the bigger the impact on the environment. The preferential trade agreements have been encouraged to increase the volume of trade between the parties involved. Currently, Indonesia is involved in several free trade agreements, and it which results in a growing volume of imported goods to be used in the economic activities as reflected in the Input-Output Table. This paper attempts to analyze the impact of the implementation of preferential trade agreement schemes in Indonesia by using the Environmentally Extended Input-Output Analysis method developed by Wassily Leontif. The final calculation shows the significance of carbon emissions released from agriculture sectors.

  • 大谷 隆介, 山田 崇雄, 中尾 彰文, 山本 秀一, 山本 祐吾, 吉田 登
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_87-II_99
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,サーモセレクト方式ガス化溶融炉における,エネルギー回収技術を導入した際の熱収支モデルの作成と技術導入時のGHG削減効果と費用対効果の推計を目的とし,株式会社クリーンステージのサーモセレクトプラントをモデル施設として分析した.モデル施設の熱収支解析をもとに,適用可能なエネルギー回収技術を導入した場合のGHG削減効果を推計した.加えて,技術導入時の費用対効果について推計した.分析の結果,サーモセレクトでは,GHG削減,費用対効果の両面において,ガスエンジン発電設備が最も優位な適用技術であることが明らかとなった.

  • 靏巻 峰夫, 橋本 誠悟, 山本 祐吾, 吉田 登, 東海林 俊吉
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_101-II_112
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     東日本大震災では多くの汚泥再生処理センターも被災して,し尿・汚泥処理に大きな支障が発生した.近い将来発生が予測されている南海トラフ地震でも広範囲で甚大な被災の可能性があるため,東日本大震災の事例を参考として広域的支援のあり方を検討する必要がある.本研究では,和歌山県を地域的な対象として震災後のし尿・汚泥の量的・質的な変化と,状況に対応した広域処理の必要性について検討を行った.発災後120日目までの期間のし尿・汚泥量の発生量を検討し,結果として県内施設だけでは処理できず,より広域の近畿圏からの支援が必要であること,その場合でも,現有能力の余裕の70%以上を必要とする期間があり,他の被災地域への支援との調整の必要性があることが示唆された.

  • 中久保 豊彦, 須藤 むつみ, 佐野 早希, 大瀧 雅寛
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_113-II_123
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,被災・断水環境下における生活者への応急給水計画の策定支援に向け,断水生活者の適応力を計画変数として組み込んだ計画論の体系化を試みた.水使用の用途別に,QOL(quality of life)水準を踏まえた生活様式を設計し,アンケート調査により得られた生活様式の回答結果を用いて,発災からの時間経過断面における水・物資の需要原単位を設定した.その上で,茨城県の想定地震(茨城県南部地震)を対象としたケーススタディを実施し,時間経過上における水・物資の需要量を推計した.水需要原単位を低下させた生活様式を断水生活者がとるためには連動した物資の供給が必要であり,物資供給と連携した応急給水計画の策定を支援するための知見をまとめた.

  • 尾﨑 平, 池田 凌弥
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_125-II_134
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     近年,地球温暖化に伴う気候変動の影響などにより,短時間集中豪雨による内水氾濫が頻発している.財政的な制約から,すべての地区の都市浸水に対する整備水準を一律にはできないため,よりリスクの高い地区を設定する方法論が求められている.そのため,本研究ではIPCCの示すリスク概念(ハザード・脆弱性・曝露の3つの相互作用)に基づき,都市浸水対策の主たる目的である「生命の保護」「都市機能の確保」「個人財産の保護」の観点から評価項目を選定し,都市の浸水リスクを評価できるシステムを構築し,その有用性と限界について考察した.

  • 大山 璃久, 佐藤 辰郎, 一柳 英隆, 林 博徳, 皆川 朋子, 中島 淳, 島谷 幸宏
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_135-II_141
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     小水力発電は有望な分散型の再生可能エネルギーであり,日本各地への導入が期待されている。小水力発電は環境負荷が小さいと考えられているが,減水区間が生じるため,河川生態系の影響を正しく評価しておく必要がある.本研究では,小水力発電による減水が渓流生態系にどのような影響を与えるのかを定量的に明らかにするため,底生動物を指標として渓流のハビタット類型ごとに減水の影響度合いを評価した.研究の結果,加地川では,全ての渓流ハビタットにおいて減水による底生動物個体数,分類群数,及び生物の群集構造への影響は認められなかった.加茂川では,一部ハビタットにおいて減水区間の底生動物個体数及び分類群数が減少しており,生態系の変質が示唆された.原因として,砂防堰堤から取水されるため,土砂供給量減少が考えられた.

  • 福﨑 健太, 目崎 文崇, 三宅 洋
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_143-II_149
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究は,平地河川における出水攪乱に対する底生動物群集の反応を明らかにすることを目的とした.愛媛県道後平野を流れる12河川に調査地を設定し,出水攪乱の発生前後に底生動物およびその生息場所環境に関する調査を行った.この結果,生息密度が出水攪乱後に全調査で減少した一方で,分類群数は3調査地で増加していることが明らかになった.群集構造解析の結果により,これら調査地では出水攪乱前に汚濁耐性種が優占していたが,攪乱後には清冽な河川に分布する分類群が増加していたことが明らかになった.さらに,集水域特性と攪乱前後の分類群数の変化率との関係より,当該地点では出水攪乱により清冽な環境を選好する分類群の新規移入が上流の山地区間から起こり,その結果として分類群数が増加したものと考えられた.

  • 馬場 健司, 岩見 麻子, 天沼 絵理
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_151-II_159
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,防災分野における気候変動適応策を題材としてオンライン熟議実験を実施し,専門知を提供しながら参加者間の議論を促し,事前・事後の質問紙調査から,参加者の認知の変化や適応策の選好を明らかにした.得られた主な知見は次のとおりである.第1に,熟議は様々なトピックに言及する形で適応策オプションに関する議論や検討が進んでいったことが看取された.第2に,気候変動影響実感については,事前・事後ともに,健康被害と風水害の認知が大きく,特に事前の認知が低かった水不足や水質悪化の認知が大きく高まった.第3に,適応策のうち自助については理解が深まったが,特に転換策は事後に否定的な反応がより多くなった.

  • 小杉 素子, 馬場 健司, 田中 充
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_161-II_167
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     気候変動リスクに対する理解と対策行動を促進する効果的な情報提供方策を検討するため,対象者を温暖化への態度で細分化し,それぞれの理解内容の特徴を把握することを目的にグループインタビュー調査を実施した.温暖化を警戒する人々は,その仕組みや影響の科学的知識はあるが対策については知識が乏しく,影響と対策の関連についての情報の重要性が示された.懐疑的な人々は非従来型のメディアから懐疑的な情報を入手しており,それが理解を混乱させ対策行動を抑制している事が示され,信頼できる情報源から科学的知見を提供する事の重要性が示唆された.関心が低い人々はそもそも温暖化の実感が乏しいため,適応策を猛暑や水害への個別対応と位置づけて行動を促進する方針を検討する意義が示唆された.

  • 上野 裕介, 前田 有香, 長谷川 啓一, 南崎 慎輔, 福島 晶子
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_169-II_176
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     人口減少時代に突入した日本では,緑地や公園に対するニーズにも変化が生じている.今後の街づくりを考える上で,このような緑地や公園をグリーンインフラとして有効活用し,持続可能かつ自然と調和した暮らしやすい都市に転換していくための方策が求められている.しかしながら市民の緑地や公園に対するニーズは一様ではなく,年代や世帯構成,ライフスタイルなどによって異なる可能性が高い.そこで本研究では,茨城県守谷市を対象に,大規模アンケート調査(配布5,238世帯,回収1,332部,回収率25.5%)を用いて市民の緑地に対する意識の違いを明らかにした.潜在クラス分析と決定木分析の結果から,主に年代(40代以下と50代以上)や子育て経験,世帯収入などの違いによって緑地へのニーズが異なることが分かった.

  • 高橋 恵介, 石井 一英, 阿賀 裕英, 佐藤 昌宏, 落合 知
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_177-II_188
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     人口減少を考慮した中長期的な視点から,廃棄物エネルギーの利活用を想定した地域循環共生圏や新たな価値を生む廃棄物管理システムが求められている.本研究では,既に広域分担処理をしている富良野生活圏を対象に,中長期的視点から廃棄物管理シナリオを検討した.結果として,可燃ごみについては,熱需要のある場合は,RDF化を選択することが,コスト,エネルギー回収,GHG排出量削減の面では効果的であるが,熱需要が見込めない場合は,運搬距離の増大を考慮しても発電施設のある焼却施設への委託が効果的であることがわかった.生ごみについては,メタン発酵施設導入によりコストは増大するが,エネルギー,GHGの面では効果的であることがわかった.

  • Hafizhul KHAIR, Indriyani RACHMAN, Toru MATSUMOTO
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_189-II_196
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     Indonesia initiated “Waste-free Indonesia 2020” campaign, one of the implementations to reach the goal is through solid waste bank programs. The Government encourages the growth of solid waste banks nationwide. Adopting a bank system, the solid waste bank is a community-based activity to facilitate people in solid waste recycling. With this system, the community deposits waste and earns money. The objective of this study is to assess the environment and the economy of solid waste bank activities as a part of municipal solid waste management in Indonesia. The study analyses the effectiveness of solid waste bank management to become environmentally and economically. This study uses a life cycle assessment method to estimate the environmental impact by using CO2 as an evaluation indicator. The economic performance was determined by measuring the cost and benefit of the solid waste bank activity. Researchers expect that the solid waste bank is an environmentally friendly and low-cost activity to enhance the recycling rate in Indonesia. This study found that solid waste bank could save 37.73 tonnes CO2 eq. per year and contribute 7 million rupiahs per year as external benefits. The results of this study are expected to help the waste bank to improve its system and can be used as necessary information for policymakers to recognize and integrate waste banks into municipal solid waste management systems.

  • 足立 進吾, 荒井 康裕, 小泉 明, 高橋 信補, 武本 剛
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_197-II_208
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     水道システムにおいて配水池は水使用量の時間変化を水位変動で吸収し,送水量を平準化する役割を持つ.熟練運転員は,経験に基づいて水位の変動範囲と送水量の平準化のバランスをとった運用を行う.本研究では,運転記録を手本と見なすことで,熟練運転員のバランスに近い水運用計画の立案手法を提案する.実システムの水位記録を分析し,配水池の特性が水位記録のヒストグラムや分位値に与える影響を論じた.分析を踏まえて,水位記録の分位値により水位の日常的な変動範囲を定め,そこからの逸脱を抑制する運用計画立案モデルを提案した.ケーススタディでは,提案手法は水位変動と水量平準化のバランスの点で運転記録をよく再現する運用計画を立案できた.さらに提案手法は運転実績よりも水位変動を適正化できる可能性が示唆された.

  • 長谷川 高平, 荒井 康裕, 小泉 明
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_209-II_218
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
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     水道管網は生活用水の供給に加え,消火時の瞬間的かつ多量のパルス水量にも対応するために,余裕のあるサイズで設計される.しかし,消防水利に関する法的な根拠があるにも関わらず,水道と消防の費用負担を明確化する理論が無いために口径拡大分についても水道側が費用をこれまで負担することが多くあった.そこで,消火用水が管網整備にもたらす追加的費用の算定手法として消火時シミュレーションを内在化した島モデル遺伝的アルゴリズム(GA)を提案し,自然流下式の実管網に適用した.その結果,提案モデルが消火時の水理機能を満たす管網を形成可能であることを確認すると共に,並列計算を併用することで管網整備費用の負担比率を現実的な時間で導出できることが明らかとなった.高速で汎用的な提案モデルは今後様々な管網でも適用可能であると期待される.

  • 南 泳旭, 藤本 泰成, 荒井 康裕, 國實 誉治, 小泉 明
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_219-II_230
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     水道管路の漏水事故は,地域的な減水・断水を招き,道路の陥没などの二次被害を生じる恐れがある.センサとネットワークを駆使したモニタリングは,水道管路の維持管理におけるIoT技術活用として期待されており,自動的な監視測定とサーバへのデータ送信が可能となるため,オンラインの漏水検知が可能となる.本研究では,暗騒音と漏水音の決定論的性質の違いに着目して,カオス解析により導出される決定論的性質を特徴量として用いた暗騒音と漏水音の判別,並びに管種による差異について実証実験する.実証実験では,屋外のテストコースで実際に測定された暗騒音と漏水音を用い,時系列データを変換した幾何学的な可視化,確率過程的なデータか否かを検定した上で,決定論的な性質の強さを基準にした漏水音の特性を解析する.解析結果から,漏水音の決定論的性質が暗騒音より強いことを示し,漏水判別に役立つ指標であることを示唆した.

  • 國實 誉治, 小泉 明, 荒井 康裕, 新居 広大, 山本 政和, 石川 美直, 津崎 将人
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_231-II_238
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
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     近年,水道施設の老朽化が重要な課題の一つになっている.特に,管路施設は地中に埋設され劣化状態を把握することが非常に困難である.そこで,管内面の状態を観測できる水道管内カメラ調査に着目した.

     本研究では,過去15年間に実施されたダクタイル鋳鉄管と鋳鉄管に関する943件の調査データを集計した.管路内の診断結果に基づき,「健全」と評価した管路をGood群,「危険」と評価した管路をBad群とし,管路の基本情報と水質に関するアイテムを説明変数とした数量化II類による判別分析を行った.分析の結果,76.8%と高い判別的中率の「基準モデル」が得られ,管内面劣化と管路特性の関係を定量化することができた.さらに,水質項目を組み入れた拡張モデルの精度が向上したこと(判別的中率82.1%)から,水質が管内面劣化に及ぼす可能性を明らかにした.

  • 横山 佳裕, 藤井 暁彦, 後藤 祐哉, 望月 佑一, 内田 唯史
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_239-II_246
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,有明海におけるノリの色落ち対策である下水放流水の溶存無機態窒素(DIN)の処理レベルを緩和すること(下水処理緩和運転)がノリ養殖場への栄養塩供給にどのような効果を与えるかを検討した.栄養塩類の効果には移流・拡散の物理現象を考慮した物質輸送モデルを用い,ノリ不作年を対象に下水処理緩和運転によるノリ養殖場へのDIN濃度の寄与を解析した.その結果,ノリ養殖期に下水処理緩和運転を既に実施している各下水処理場地先では,この緩和運転によりノリ養殖場のDIN濃度が上昇し,降水量が少ない年ではDIN濃度を10~20%増加させると見積もられた.さらに,佐賀県西部海域に放流している処理場で緩和運転を行うと,ノリの色落ちが生じやすい佐賀県南部海域のDIN濃度を4%程度増加させると試算された.

  • 道浦 貴大, 中尾 彰文, 山本 祐吾, 吉田 登
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_247-II_259
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
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     本研究では福岡県北九州市をケーススタディの対象地とし,下水汚泥の燃料化における水分乾燥工程の熱源が異なるケースを設定し,温室効果ガス排出削減効果および事業コストで比較評価した.乾燥熱源には地域の廃棄物由来の熱・バイオガス,産業工場の排熱利用を想定した.比較ケース【case1】下水汚泥由来の消化ガスによる汚泥の造粒乾燥,【case2】セメント工場の排熱による汚泥乾燥,【case3】下水処理場と隣接したごみ焼却場の焼却排熱(過熱蒸気)による造粒乾燥,【case4】一般廃棄物から回収したバイオガスによる造粒乾燥.推計の結果,温室効果ガス排出削減量,事業コストともにcase2がもっとも優位となり,産業工場の排熱を利用して,下水汚泥エネルギーを最大限に活用することの有効性を定量的に明らかにした.

  • 那須 雄太, 中尾 彰文, 山本 秀一, 山本 祐吾, 靏巻 峰夫, 吉田 登
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_261-II_271
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,今後の自治体の災害廃棄物処理計画策定に資する知見・知識を得ることを目的として,都道府県を対象に各自治体の処理計画を文献調査し,それぞれが使用している発生原単位や推計方法を,整理・分析し,現状を体系的に明らかにした.原単位は5種類見られ,それぞれの特徴をまとめたところ,想定災害と原単位の用途が一致していないと考えられる自治体が見られた.また,和歌山県をモデルにケーススタディーの対象地として災害廃棄物対策指針の原単位を用いた災害廃棄物発生量の推計を行い,既存の計画と比較し,既存の計画で定められている項目に及ぼす影響を検討した.原単位の設定が異なるだけで発生量に大きな差が見られ,処理計画に影響を与える等,原単位の設定の重要性について考察した.

  • 道網 亮佑, 山田 崇雄, 中尾 彰文, 山本 秀一, 山本 祐吾, 吉田 登
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_273-II_284
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,人口減少下での老朽化したごみ焼却施設における施設更新の事業性を評価することを目的とし,大阪府泉州地域における事例分析を行った.集約方法による地域負担額の変化,人口変化の不確実性,更新時期の変更,施設規模の縮小などを反映させた事業性を評価した.加えて,人口減少が進み廃棄物処理に係るコスト負担が増大する地域での今後の施設整備の方向性に関する考察を行った.分析の結果,定期的な基幹的設備改良を行うことは中長期期的にみても維持管理費の削減に繋がることが明らかとなった.集約化する場合には,主体間が連携しスケールメリットを得ることで地域全体での廃棄物処理コストを削減することが可能となること,また定期的な施設改良に加えて,施設の稼働日数をこれまで標準化されていた計画日数よりも高めることにより,処理コストの削減に繋がることを明らかにした.

  • Ganbold ENKHMUNKH, Eiji YAMASUE, Alessio MIATTO, Hiroki TANIKAWA
    2019 年 75 巻 6 号 p. II_285-II_290
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/16
    ジャーナル フリー

     Mining, husbandry, and construction activities are consuming a large amount of natural resources. These processes have multiple impacts on the environment, including the excavation of large areas. This research focuses on gold mining in Mongolia, and aims (1) to identify the gold mining activities and allocated them on a map, and (2) to quantify the material flows related to gold mining. Statistical datasets, sourced by the Mineral Resources of Mongolia and the National Statistical Office of Mongolia, were used to account for domestic extraction. Two methods were used for mapping mining activities: firstly, the degraded areas were identified through a geographic information system (GIS) software; secondly, the domestic extraction of gold mining was estimated by the standardized method of material flow accounting. Results indicate the Mongolian gold mining activities exploited 9,812 ha of land across 18 different provinces. In addition, 745,300 m3 of soil was excavated to produce 132 tons of gold in 2007-2017. Particularly, during this period 100.8 tonnes of green gold was extracted which means the gold extraction that does not include any chemical process and just washing soil to obtain gold. "Green Gold" is recognized as less environmental impact by the European market.

     This study will be beneficial to the Mongolian government to better understand the environmental burden related to the gold mining activities in the country.

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