2019 年 75 巻 6 号 p. II_125-II_134
近年,地球温暖化に伴う気候変動の影響などにより,短時間集中豪雨による内水氾濫が頻発している.財政的な制約から,すべての地区の都市浸水に対する整備水準を一律にはできないため,よりリスクの高い地区を設定する方法論が求められている.そのため,本研究ではIPCCの示すリスク概念(ハザード・脆弱性・曝露の3つの相互作用)に基づき,都市浸水対策の主たる目的である「生命の保護」「都市機能の確保」「個人財産の保護」の観点から評価項目を選定し,都市の浸水リスクを評価できるシステムを構築し,その有用性と限界について考察した.