2019 年 75 巻 7 号 p. III_161-III_171
下水処理水中に存在するF特異RNAファージ(FRNAPH)遺伝子群の塩素と紫外線消毒による不活化効果を評価すると同時に,次世代シーケンシング(NGS)により消毒後に残存する消毒耐性が強い可能性があるFRNAPH株の特定を試みた.塩素消毒による不活化効果は,高濃度に培養・添加した結果では遺伝子群の間に差はなかったが,元々下水処理水中に存在した濃度での結果ではGIと比べてGII–GIVの方が低かった.紫外線消毒による不活化効果は,高濃度培養のFRNAPH添加有無による結果に顕著な差は無く,GIVが最も高く,GIII,GII,GIの順であり,GIが最も耐性が強かった.NGSにより原水では検出されなかったGIIに属する2種類のFRNAPH株が,塩素と紫外線消毒後の試料のみで検出されたことから,これらの株は他の株と比べて消毒耐性を有している可能性が示唆された.