2019 年 75 巻 7 号 p. III_19-III_24
本研究では実都市下水を供給したUASBリアクター内の上昇線流速を段階的に変化させ, 槽内に出現する嫌気性原生動物の細胞数と原生動物叢への影響を解析した. 原生動物の細胞数は槽内の上昇線流速が2.4-14.4m/dayの範囲では0-3970cells/mLで変化し,上昇線流速の増加に伴って増加する傾向が見られた.22.4m/dayの上昇線流速では原生動物が汚泥床外へ流亡し,細胞数は100cells/mLまで急激に減少した.UASB内に存在した嫌気性原生動物はMetopus palaeformis,Metopus contortus,Chaenomorpha sp.,Plagiopyla sp.が優占種であり,平均して全18SrRNA遺伝子の約7割を占めた.線流速が大きい条件でUASB内の原生動物の優占種は短期間で変化し,その変化は同一条件の運転期間においても観察された.