土木学会論文集G(環境)
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環境工学研究論文集 第56巻
さまざまな下水処理場の処理水に含まれるカビ臭物質濃度
浦瀬 太郎筒井 裕文
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2019 年 75 巻 7 号 p. III_25-III_33

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抄録

 下水処理水に含まれるカビ臭3物質の濃度を2012年から2018年の期間,25か所の処理場の123試料に対して測定した.下水処理水には,処理場ごとの平均値で,2, 4, 6-トリクロロアニソール(2, 4, 6-TCA)が最大18.0ng/L(測定限界以下の3処理場を除いた平均で8.4ng/L),ジェオスミンが最大20.5ng/L(測定限界以下の1処理場を除いた平均で8.4ng/L),2-MIBが最大17.0ng/L(測定限界以下の2処理場を除いた平均で5.6ng/L),それぞれ含まれていた.とくに,2, 4, 6-TCAおよびジェオスミンは多くの処理水で臭気しきい値以上の濃度で検出された.こうしたカビ臭物質の濃度は,大都市の活性汚泥法の処理場で高く,オキシデーションディッチ法や大学排水の処理施設処理水で,濃度が低かった.反応タンク上澄水と公共用水域へ放流される処理水とでカビ臭物質濃度に差はなかったことから,処理水の消毒操作とカビ臭物質の生成との関連は小さかった.

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