2019 年 75 巻 7 号 p. III_11-III_17
難分解性の有機塩素化合物を含む廃水には促進酸化処理が用いられている.促進酸化処理はラジカルによる間接的な酸化かラジカルが影響しない直接的な酸化かを判断することが容易でなく,分解特性が十分に理解されないまま実用化されている現状がある.本研究は,低分子の有機塩素化合物である2, 4-Dを用いた異なる条件における促進酸化分解の挙動から2, 4-Dの分解特性および分解経路を明らかにした.・OHが発生する間接的分解では2, 4-Dは速やかに分解し,脱塩素と低分子化が同時に進行した.・OHが寄与しない直接的分解では分解が容易な2, 4-Dの官能基部分の分解が先行する挙動も一部にみられ,脱塩素は間接的分解に比べ時間を要した.また,間接および直接的分解に関わらず酸化反応を継続することで2, 4-Dの十分な分解が可能であった.