2019 年 75 巻 7 号 p. III_245-III_253
東南アジアでの下水インフラ開発が活発化する中,時々刻々と変動する下水濃度の代表値を如何に一定の精度で推定するかは重要な課題である.本研究ではフエ市で8ヶ月間観測した下水流量・質データに対し再抽出法を用いたシミュレーションを実施し採取頻度と下水質推定精度との関係を検討した.連続観測したECデータに対し試料採取日数および一日あたり試料数の2変数を変動し解析した.さらに36日分の1日コンポジット試料データを用いて6水質項目間における下水質の推定精度の差を検討した.その結果,試料採取日数は一日あたり試料数と比べ下水質の推定精度向上により寄与すると分かった.またBOD,CODおよびTNの推定には,SS,TPおよびECよりも多い試料が必要と推察された.本研究で得られた知見は適切な下水質調査手法の開発に貢献すると期待される.