土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第56巻
膜ろ過浄水施設で長期間使用されたPVDF製中空糸膜の劣化機構の解明
米澤 有貴橋本 崇史風間 しのぶ小熊 久美子藤村 一良滝沢 智
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2019 年 75 巻 7 号 p. III_341-III_350

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抄録

 膜ろ過浄水施設で使用されたPVDF製中空糸膜の劣化評価手法を検討し劣化機構を明らかにする事を目的として,複数の劣化評価法の結果を比較検討した.バブルポイント試験,拡散空気量試験の結果から,使用済み膜では新膜よりも空気が透過しやすくなっており,膜表面のSEM画像の解析からも表面開孔率の増大が確認された.ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるPVDFの分子量分布や,X線回折(XRD),全反射フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)分析による結晶化度には大きな変化が見られなかった.一方,ATR-FTIR解析では,使用済み膜の未使用膜に対するピークの減衰率が,結晶部と非結晶部で同程度であり,SEM画像解析では,膜表面の密度が低下し,粗い構造となっていることが示された.これらのことから,膜の劣化はPVDFの結晶構造が崩れて低分子化するよりも,結晶と非結晶を含む部分的な構造が脱落することによって起きていることが示唆された.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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