土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第56巻
嫌気性MBRを用いた実下水処理の性能評価及びHRTの影響
大津 秋人紀 佳淵北條 俊昌李 玉友
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2019 年 75 巻 7 号 p. III_351-III_357

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抄録

 メタン発酵によって有機物を除去する嫌気性MBRは創エネルギーかつ省エネルギーな処理として注目されている.しかし,実下水を対象とした知見の不足より,実用化していない.本研究では,嫌気性MBRを用いた実下水の長期連続処理実験を行い,処理性能を評価した.実験では,水理学的滞留時間(HRT)を24hから4hまで段階的に短縮させた. その結果,高いCOD除去率(84〜90%)を維持し,特に標準活性汚泥法と同等のHRT6〜8hで長期間安定して処理水質BOD<20mg/L,COD<60mg/L以下を達成できた.また,HRT8hの汚泥生成量は標準活性汚泥法の1/2〜1/5の0.12gVSS/gCODremであり,メタン転換率は69.3±3.2%が得られた.嫌気性MBRと活性汚泥法+嫌気性消化を比較したところ,嫌気性MBRによりエネルギー回収率が1.6倍向上し,また汚泥生成量は半分以下に削減できるポテンシャルがあることが示唆された.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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