2020 年 76 巻 5 号 p. I_49-I_54
環礁州島において伝統的に淡水資源として利用されてきた淡水レンズは,近年の都市化による汚染や塩水化の影響で利用が難しい状況となっている.このため,環礁州島では持続的な淡水資源の利用が大きな課題となっている.本研究ではツバル国フナフチ環礁フォンガファレ島に形成する淡水レンズに着目し,州島幅と涵養量との関係,および潮汐変動が淡水レンズに与える影響を数値計算を用いて検討した.州島幅,涵養量,淡水レンズ体積の関係から,フナフチ環礁フォンガファレ島の潜在的淡水レンズ体積を推測したところ,現状の人口においておよそ40~90年分の淡水資源を有するものと推測された.また,潮汐変動による海水の流入・流出の影響で,州島地下に形成した淡水レンズの体積はおよそ2割程度減少することがわかった.