2020 年 76 巻 5 号 p. I_495-I_503
本研究では,阿蘇南郷谷に属する南阿蘇村および高森町における水循環への水田の影響を明らかにするために,減水深,水田からの地下水涵養量,水田に利用できる湧水および河川の水量,湛水に必要な地下水揚水量を評価した.減水深の平均値は,中干前は54.7mm/day,中干後は67.7mm/dayであり,全国水田の平均値より高い値を示した.2015年から2018年を対象として推定した水田からの地下水涵養量は,2016年熊本地震の影響で減少したものの,毎年約6,900万m3を超えており,白川中流域に匹敵するほどであった.妙見橋上流において観測した流量の合計は約35.9万m3/dayで,白川および両併川の河床からの地下水流出を示唆した.水田領域の水収支モデルから推定した地下水揚水量は,水田からの地下水涵養量の38%前後で,30~40mmの降雨がある日は,地下水の揚水が必要ないことが推定された.